×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「俺は夢盗まれたからな。取り返しに行かにゃあ」
「夢ってのは女のことか?」
「実際クラシックだよ。おまえってやつぁ」
・・・かっこいい。初めて見た時からこれがルパン史上歴史的な瞬間だと確信できたくらいかっこいい。何度見てもそのたびたまげてしまうほどにかっこいい。しかし「かっこいい」ことの他はよくわからず見ていたやりとりでもあります。
その最たる原因は、「ルパンvs複製人間」を貫くキーワードである「夢」をよく理解しないままに見ていたことだと思うので、今回は「夢」という言葉から、複製人間に描かれたルパンや他キャラたちを考えてみたいと思います。しょっぱなからハードルを上げ過ぎた気がしてなりませんが・・・。
「夢ってのは女のことか?」
「実際クラシックだよ。おまえってやつぁ」
・・・かっこいい。初めて見た時からこれがルパン史上歴史的な瞬間だと確信できたくらいかっこいい。何度見てもそのたびたまげてしまうほどにかっこいい。しかし「かっこいい」ことの他はよくわからず見ていたやりとりでもあります。
その最たる原因は、「ルパンvs複製人間」を貫くキーワードである「夢」をよく理解しないままに見ていたことだと思うので、今回は「夢」という言葉から、複製人間に描かれたルパンや他キャラたちを考えてみたいと思います。しょっぱなからハードルを上げ過ぎた気がしてなりませんが・・・。
+
まずは「夢」という言葉自体について。
「複製人間」に登場する「夢」という言葉に一般の語義を当てはめると、 話のつじつまが見えてこない気がします。たとえばマモーの「ルパンは夢を見ない!」を睡眠中に見るものとしての夢、ルパンの「夢盗まれちまった」を将来へ の期待としての夢と捉えることもできるでしょう。しかしこれでは、マモーが見ることのできなかったものを、どうしてルパンが「盗まれた」と表現したのかが わかりませんよね。かといって「夢」の意味するところが作中できちんと定義されておらず、あたかも日常的な意味で使われているように見えてしまうのが、 「複製人間」の持つわかりにくさの一要因のように思います。一体「複製人間」における「夢」はどういう意味なのでしょうか。
注目したいの はマモーの「ルパンは夢を見ない!」というセリフです。これはマモーがルパンの深層意識を覗き込み、そこに何も見出せなかった時に出た言葉でした。つまり 「夢」=深層意識に現れるものなのですね。更にマモーはこう続けます。「空間、虚無。それは白痴の、あるいは神の意識に他ならない!」。実はこの「深層意 識が虚無=神の意識」という部分もかなり解釈に迷った部分でした。なぜルパンの深層意識に何も現れなかったことがマモーをおののかせたのでしょうか。
「深 層意識が虚無=神」を裏返すと、普通の人間の深層意識には何かしらが存在することになります。深層意識というのはその人物の根っこの部分、いわば存在の核 になるところですよね。普通の人間の深層意識を覗き込めば何かが見えるはずだというのは、普通の人間なら存在の核として「かたちとして目に見えるもの」を 必要としているはずだということに置き換えられると思います。人間は自分の外部に現に存在するものによって、自分という存在を確立しているのですね。たと えば「愛情」という一見内部的なものも、それが現実に存在する何かを対象とすることで成り立つ以上、やはり自分の外の存在を必要としているのです。
深 層意識が虚無ということは、自分の外に対象を求めなくても自己を確立できるということです。つまり自分を取り巻くすべてがなくなってしまっても自分の存在 を保てるということ、自分が自分であるために世界を必要としないということです。外部的なものに依拠せず自己を確立するというのは、世界を創造する神にの み許されることなのでしょう。
話を元に戻しますが、「夢」が深層意識に現れるものを指すのだとしたら、「夢」は存在の核になる部分にある ものと捉えることができるのではないかと思います。私なりにまとめるなら、「夢」とは「自分が自分であるために志向する対象」。こうすれば、「複製人間」 という作品における「夢」の重さや取り戻しに行ったルパンの決意の固さに少し迫れるのではないでしょうか。
+
前置きが長くなりましたが、タイトルにしたルパンの「夢」に移りたいと思います。その存在を見てとれなかったマモーによって盗まれたとルパンが感じた「夢」。一体ルパンの「夢」とはなんなのでしょう。
次 元と別れたあと、ルパンはマモーと最後の対決をするわけですが、そこで問題にされたのは「処刑されたルパンがコピーであったか否か」「今生きているルパン はオリジナルのルパンなのか」ということでした。わざわざ「取り返しに行く」と宣言して出かけた先での会話ですから、「自分がオリジナルである」という確 信こそが取り返さなければならなかった「夢」だと考えるのが自然です。
つまりルパン三世という人間が志向の対象とするのは「自己の単一 性」なのですね。外部にある(深層意識で見ることのできる)ものにも規定されないかわりに、「自分はまぎれもない自分である」という意識こそがルパンを支 えているわけです。そしてこのことはルパンはルパン自身以外のなにものからも自由だということもつながると思います。
後編
まずは「夢」という言葉自体について。
「複製人間」に登場する「夢」という言葉に一般の語義を当てはめると、 話のつじつまが見えてこない気がします。たとえばマモーの「ルパンは夢を見ない!」を睡眠中に見るものとしての夢、ルパンの「夢盗まれちまった」を将来へ の期待としての夢と捉えることもできるでしょう。しかしこれでは、マモーが見ることのできなかったものを、どうしてルパンが「盗まれた」と表現したのかが わかりませんよね。かといって「夢」の意味するところが作中できちんと定義されておらず、あたかも日常的な意味で使われているように見えてしまうのが、 「複製人間」の持つわかりにくさの一要因のように思います。一体「複製人間」における「夢」はどういう意味なのでしょうか。
注目したいの はマモーの「ルパンは夢を見ない!」というセリフです。これはマモーがルパンの深層意識を覗き込み、そこに何も見出せなかった時に出た言葉でした。つまり 「夢」=深層意識に現れるものなのですね。更にマモーはこう続けます。「空間、虚無。それは白痴の、あるいは神の意識に他ならない!」。実はこの「深層意 識が虚無=神の意識」という部分もかなり解釈に迷った部分でした。なぜルパンの深層意識に何も現れなかったことがマモーをおののかせたのでしょうか。
「深 層意識が虚無=神」を裏返すと、普通の人間の深層意識には何かしらが存在することになります。深層意識というのはその人物の根っこの部分、いわば存在の核 になるところですよね。普通の人間の深層意識を覗き込めば何かが見えるはずだというのは、普通の人間なら存在の核として「かたちとして目に見えるもの」を 必要としているはずだということに置き換えられると思います。人間は自分の外部に現に存在するものによって、自分という存在を確立しているのですね。たと えば「愛情」という一見内部的なものも、それが現実に存在する何かを対象とすることで成り立つ以上、やはり自分の外の存在を必要としているのです。
深 層意識が虚無ということは、自分の外に対象を求めなくても自己を確立できるということです。つまり自分を取り巻くすべてがなくなってしまっても自分の存在 を保てるということ、自分が自分であるために世界を必要としないということです。外部的なものに依拠せず自己を確立するというのは、世界を創造する神にの み許されることなのでしょう。
話を元に戻しますが、「夢」が深層意識に現れるものを指すのだとしたら、「夢」は存在の核になる部分にある ものと捉えることができるのではないかと思います。私なりにまとめるなら、「夢」とは「自分が自分であるために志向する対象」。こうすれば、「複製人間」 という作品における「夢」の重さや取り戻しに行ったルパンの決意の固さに少し迫れるのではないでしょうか。
+
前置きが長くなりましたが、タイトルにしたルパンの「夢」に移りたいと思います。その存在を見てとれなかったマモーによって盗まれたとルパンが感じた「夢」。一体ルパンの「夢」とはなんなのでしょう。
次 元と別れたあと、ルパンはマモーと最後の対決をするわけですが、そこで問題にされたのは「処刑されたルパンがコピーであったか否か」「今生きているルパン はオリジナルのルパンなのか」ということでした。わざわざ「取り返しに行く」と宣言して出かけた先での会話ですから、「自分がオリジナルである」という確 信こそが取り返さなければならなかった「夢」だと考えるのが自然です。
つまりルパン三世という人間が志向の対象とするのは「自己の単一 性」なのですね。外部にある(深層意識で見ることのできる)ものにも規定されないかわりに、「自分はまぎれもない自分である」という意識こそがルパンを支 えているわけです。そしてこのことはルパンはルパン自身以外のなにものからも自由だということもつながると思います。
後編
PR
この記事にコメントする